ベンチャーキャピタリストは思った

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【サッカービジネス】第2回Jリーグクラブの収益って

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サッカービジネスについて、自分のインプットとアウトプットのために書いているシリーズ2回目。わが日本のJリーグのクラブをメインに収益面から見ていきます。

Jリーグの各クラブがどうやってお金を稼いでいるかご存じでしょうか。収益源は大きく分けて、以下の4つです。

  • グッズ
  • チケット
  • 放映権(分配金)
  • 移籍金

一番わかりやすいのはグッズ、チケットだと思います。実際に、試合を観に行くサポーターが支払う料金ですね。これらはそのままクラブに収益になります。※チケット料金はスタジアムの運営状況によって異なります。詳しくは後述します。聞きなれない言葉で放映権、分配金があります。これらに移籍金を加えた3つは、サポーターが直接払っているものではありません。各クラブはこの5つを最大化させようと、日々の経営をしています。

 

デロイトトーマツさんが、公表されているリーグ所属全クラブチームの2016年の財務情報等を基にマーケティング、経営効率、経営戦略、財務状況の4つの視点からビジネスマネジメントを数値化したレポートその補足資料があります。

これめっちゃおもしろいです。本題に入る前に、ちょっと抜粋します。

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各項目を大きく4つに分類しており、例えば1stステージのマーケティングについては上図のように書かれています。詳細については、主な収益源の中で書いていきます。

それでは、5つをそれぞれ個別で見ていきましょう。

グッズ:ユニのデザインやスター選手の存在がカギ

サッカーチームのグッズで一番初めに頭に浮かぶのはユニフォームでしょう。選手たちと同じユニフォームを着用することで一体感を強めます。また、タオルやストラップなどなど幅広く販売しております。

一人のサッカーファンとして考えると、まず一番好きなチーム、もしくは地元のチームをひいきします。つまりそのチームのユニフォームを買ってホームスタジアムで応援することがまず初めにきます。そしてサッカーを知るにつれて、別のチームであっても、「あの選手は日本代表だから 」と別チームの選手のユニフォームが気になるようになります。また、スタジアムでの応援に慣れてくると、選手入場の際にタオルをかかげてチームへの忠誠を示したりします。こんなふうにグッズは売れて行きます。また、あのチームのユニフォームがかっこいいな、みたいな感じで買うこともあると思います。

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 グッズ収入はJ2がJ3の約6倍、J1がJ2の約3倍とのこと。

J3の利益率が抜きんでていますが、その理由についても説明がされています。

 

チケット:スタジアムへのアクセスや設備も重要

スタジアムでの観戦する最大のメリットは臨場感を味わえることでしょう。テレビや雑誌で見ていた選手がすぐ側でプレーしており、声が聞こえることもあります。その場でリアルタイムでみることができることはスポーツコンテンツで一番価値があることです。J1は主に土曜日開催で、サラリーマン家庭が見に行きやすいようになっています。みなさんがスタジアムへ行くか行かない迷う時、何を判断材料にしますか?スタジアムで応援することが習慣化されている人であれば、関係はありませんが、多くの方は、毎試合観に行くわけではありません。例えば、こういうことを判断材料にするのではないでしょうか。

  • 今いることからスタジアムが近い、アクセスが便利
  • スタジアム設備が充実している(特にトイレは重要だと思います)
  • チケットが安い
  • スタンドからピッチが近くて臨場感がある etc

4つめの、ピッチとの距離感ですが、これは思うところが多々あり、Jリーグの発展に欠かせない要素だと思ってます。

話を戻すと、やはりスタジアムへの距離感は非常に重要です。例えば浦和レッズの埼玉スタジアム2002は最寄り駅の浦和美園駅から若干歩きますが、都心から駅までは東京メトロの南北線直通なので楽です。FC東京の味の素スタジアム(飛田給駅)は、渋谷から なんと30分です。また、柏レイソルの柏の葉、川崎フロンターレの等々力もアクセスがいいです。個人的にはサガン鳥栖のベストアメニティスタジアムは最高です。博多駅からJRで約30分の鳥栖駅真横にあります。博多にあるアビスパ福岡のレベルファイブスタジアムよりも下手したら近いです。

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 平均入場数をみると、当たり前ですが人口が多い地域かつ収容人数が多いチームが上位にきますが、右のスタジアム集客率はどうでしょうか。これが重要な指標です。スタジアムをコンテンツとして考えたときに、大きなスタジアムでガラガラ、コンパクトなスタジアム満員、どちらが優れているでしょうか。それは後者です。コンテンツに熱狂、白熱という要素を加えることができます。面白いのは、平均入場者数では中位以下の仙台、磐田、大宮、柏が上位につけていることです。つまり、観客数は少ないが、スタジアムは埋まっている状況です。一方、横浜FMやFC東京は半分も埋まっていません。経営効率という面で考えても、ガラガラは好ましくありません。

放映権:現代スポーツビジネス最大の収益源

放映権とは、スポーツの試合をTVやネットなどで配信する権利を言います。2016年には、DAZNがJリーグの放映権を10年、総額約2,100億円で獲得したことが大きな話題となりました。

www.jleague.jp

これはJリーグが全試合の放映権を一括でDAZNに販売し、その収入を各チームに均等に分配します。均等に分配される、というところは重要です。後述します。

日本では、10年で2,100億円でしたが、スポーツ中継はお金を払って観る、ということが根付いている欧州ではサッカーの放映権は高騰しています。

英プレミアリーグでは、2016年〜2019年までで総額約51億ポンド(約9,282億円)で、最下位のチームが受け取る分配金が、ドイツの優勝クラブであるバイエルンミュンヘンより高い、という異常事態が起きています。

www.soccer-king.jp

 

放映権の高騰についてですが、まず単純に観られる地域、人口が増えたことが挙げられます。これまでのTV放送は基本的に自国の人を対象に配信されていましたが、ネットの普及によって、欧州のサッカーを日本でも気軽にみることができるようになり、かつ発展途上国の人々も観ることができるようになりました。特にアジアは最大のマーケットになっており、欧州のビッククラブはプレシーズンにアジアツアーを行い、アジアでのファン獲得に力を入れています。

先ほど、Jリーグは均等に分配と記載しましたが、厳密に言うと「均等分配金」と言われるものから、ビッグクラブを産むため上位クラブには「理想強化分配金」などいくつかあります。スペインではバルセロナとレアル・マドリードに大半の分配金が流れ、クラブ間の格差は広まるばかりだと、懸念されてきましたが、最近は各クラブに均等に分配され始めました。今年のリーガを観ていると、アトレティコ、セビージャ、バレンシアなどが戦力を強め、2位争いが面白くなってきています。分配金の影響がこういうところにも出てきています。

移籍金:選手を「売る」という行為は日本に根付くか

先に挙げた4つよりも、移籍金の方が私たちが耳にすることは多い。今シーズンの初めにはネイマールがおよそ2億ユーロでPSGに移籍しました。移籍金については下記事できています。 

www.vcdiary.work

 日本人の感覚で言うと、スター選手を高値で「売る」という感覚はどうも馴染まない気がしています。文化的に、儲けるということが美化されることがないからです。一方、欧州や南米では完全にビジネスとなっており、代理人と呼ばれるエージェントが暗躍することもあります。Jリーグで活躍した選手が海外に移籍してしまうと、Jリーグが弱くなるという懸念が一部ではありますが、私はそうは思いません。日本人選手が海外で活躍しているのを観た子供たちが「次は自分が」という気持ちを持つようになり、それが日本サッカーの土台を作っていくはずです。

個人的にはスタジアムでの「体験」を最大化してほしい

いかがだったでしょうか。サッカークラブにはいくつもの収益源があり、クラブスタッフは各事業が最大化されるように努力をしています。分配金はすでにDAZNが10年契約をしているため、すぐには変わりませんので、テコ入れできるのは、グッズ販売、チケット収入、移籍金です。まず初めにできることはスタジアムでの「体験」価値をさらに高めることだと思います。昨シーズンから、スタジアムではフリーWi-Fiが整備され、DAZNが観られるようになる取り組みが始まりました。

av.watch.impress.co.jp

また、ガンバ大阪は寄付金という形で吹田にサッカー専用スタジアムを建設しました。スタンドの傾斜が急で、後ろの方の席でもピッチが近く感じられます。このように観客がスタジアムでの体験を楽しむことができれば、「また観に行こう」という気持ちになり、それがグッズ販売にも繋がると思います。そして収入が増えれば選手たちの待遇や育成強化にもつながり、スター選手の輩出とその選手の移籍による高額の移籍金の獲得につながります。もちろん1,2年でできることではありませんが、日本サッカーを強くしていく為の大事なステップだと思います。

P.S Jリーグには申し訳ないですがロシアW杯ではほとんどを海外組で揃えて臨むべきだと思います。東アジア選手権でよくわかりましたが、国内選手の力は相当劣っています。我々サポーターがスタジアムで直接選手に声をかけることで彼らにもっと強くなってもらいましょう。前へ進むためのブーイングは絶対に必要です。