『琥珀の夢』を読みました

f:id:multi-business:20171215123127j:image

尊敬する大経営者の方から『琥珀の夢』を推薦いただき、早速読みました。伊集院静氏が描く、サントリー創業者鳥居信治郎氏の物語です。小説として楽しむだけでは勿体無いほど、経営に役立つことが散りばめられています。今回は、自分の備忘録も兼ねて、「ここがポイントだな」を書き留めておきます。

 

幼いときから成功の素質がともなっていた??

信治郎の幼少期の特徴が以下の通りです。

小学校は2階級飛び級
好奇心が非常に強い
体が頑丈
弱音、文句を言わない
陰徳の考え

 身体的な特徴や、頭の良さはもちろんですが、「弱音、文句を言わない」や「陰徳の考え」という精神面での特徴があります。陰徳はあまり聞かないと思いますので、簡単に説明すると、自分がおこなった徳は他人にばれないようにする、ひけらかさないようにするということです。そのような謙虚な姿勢が成功につながったのではないでしょうか。上巻で、信治郎の母親が信治郎に諭す場面がありますので、ご確認ください。飛び級すごいな。

明治時代特有の日本人の明るさを感じます。

司馬史観に基づく私の個人的な意見として、明治時代の日本人はとても楽観的で明るい民族だと思っています。維新を経た日本は西洋の豊かさに振れ、希望をもち国際社会に出ていきました。一方、列強など海外国との利害が発生し2度の戦争をおこないます。ここで私がいつも感じるのは、昭和時代の戦争の暗さをあまり感じないことです。もちろん戦争はしてはいけないことです。悲劇しか生みません。それでも、明治は希望をもって前に進んでいたと思います。根拠がなくて申し訳ございません。

信治郎の丁稚奉公時代を読んでいても、大阪の活気が文章からあふれんばかりに出てきます。読んでいて気持ちがよくなります。

 

奉公先のご主人、小西儀助さん最高

信治郎は丁稚として、小西商店に奉公に出ることになりました。小西商店は薬を商いにし、洋酒事業も始めます。儀助は信治郎に素質を感じ、自分の丁稚時代のことを語ります。これがまたいい話。

「温い飯は三年喰わしてもらえなんだ。けどそれを辛いと思うたことはいっぺんもなかった。なんでかわかるか。」
「わてには帰る場所がなかったんや。そら生家はあったが兄弟も皆奉公先へ出とる。わてが倒れたら、それで仕舞いや。飯を食べさせてもろうて、仕事も覚えられる。それで十分やった。ど突かれようが、蹴られようが、わては倒れるわけにはいかんかったんや。この手に銭も握らせてもらえへんかった。それがよかったんや」

泣ける。そしてたくましさを感じる。

 独立後に本領発揮

信治郎は独立し、店を構えることになりますが、取り扱うものは洋酒。儀助が断念した洋酒製造です。恩師が成し遂げられなかったことを成し遂げる。壮大です。気持ちいいです。そんな中、信治郎は、西洋人と結婚した女性の家に招かれ食事をします。信治郎は生粋の商人で、どこでもビジネスチャンスを探しています。

信治郎は食事をしながらセレースとお嬢さんが葡萄酒を飲む様子を見ていた。特にセレースは葡萄酒をよく飲んでいた。----これが西洋の晩御飯の食べ方なんや。毎晩こないしてんのやったら、そら葡萄酒はよう売れるがな・・・・。

 ただ目に映る事象として捉えるのではなく、ビジネス目線から物事を見ています。

また、大阪⇔小樽を航行する客船を見つけ即乗船することを決めます。しかも一等客室。現在に換算すると数百万円とのこと。まだ事業を始めたばかりの信治郎にとってそんなに大きい額は払えるわけありません。しかしちょうどいいタイミングで、お兄さんから事業資金をもらったばかりでした。それを使います。

「小樽なら小樽でかまへん。わてはあの船の一等に乗る連中のがどんなんかを見てみたいんや」
「見るだけですか」
「いや見るだけでない。どんなふうにしとんかを、この目でたしかめたいんや。どんなもん食べて、どんなもん飲んで、どないなことしとんのんかを」
「変わった人やね、あんたはんは・・・、ほな船に乗って、人を見るだけですか?」
「いや、街も、人も見るんや」

大好きな場面です。本当に商売人。行動力、観察眼。全ビジネスマン尊敬するべき。

マーケティング戦略もさすが

 この時代、米一升が十銭であった。赤玉一本で米が四升ほど買えるのだから、贅沢な品物であることは間違いなかった。
信治郎がこの値決めをしたのは、品質に確固たる自信があったからである。同時に、日本の葡萄酒の中で一番のシェアをしめている東京の蜂印~葡萄酒よりあえて高い値付けをしたのである。もちろん、問屋、商店の利幅も蜂印より大きい。
三十八銭は九年という辛苦の歳月の値段ではない。信治郎はこの赤玉以降、さまざまな商品を開発して世に送り出すことになるが、どの商品も安さで売ろうという発想はしなかった。同じ商品でも寿屋の商品は、他に負けない最上の品物を作っているという自負があってのことだった。

 価格戦略の真髄。いいものを安く提供するのではなく、価格に価値を表しています。詳細は本に譲りますが、新聞広告を本格的に取り入れたのは信治郎が日本で初めてのようです。デザイナーを雇い、好きなようにさせることで独自の広告を生み出していきました。

組織戦略

 店の中の誰よりも懸命に働く姿勢はかわらなかったが、信治郎は丁稚時代、先に店に入った先輩から必要以上に叱責され、萎縮してしまって十分に働くことができなくなった同僚や後輩たちを何人も見ていた。皆がのびのびとその能力を発揮できるためには、家族の団欒のようなものが必要だと考えていた。

 労働の流動性が以前より少しだけ進んだ日本で、逆行する考えかもしれませんが、こういう考えは必要。社員の働きやすさを追求し、ひいては会社が繁栄する。好循環です。

ビジネスに役立つことばかり書いてあります。

小説だと思い、楽しく読んでいてはビジネスに役立つことを読み流ししてしまうと思ったので、「これはいいな」と思ったことは付箋をつけたり、その場でEvernoteにメモするなどして書き留めました。年末年始に時間がある方、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

2年前のEvernoteを見返したら、金言がいっぱい!

f:id:multi-business:20171122230329p:plain

いつもは企業の財務資料を基にブログを書いていますが、今日は趣向を変えて。

久しぶりにEvernoteでメモを取るようになり、昔のノートを見ていると鎌倉シャツの取締役会長、貞末良雄氏の「名言」(ノートにそう書いてあり、本当に貞末会長のお言葉かわかりませんが汗)がたくさん書いてあった(2015年11月7日付)ので、ブログに転載しようと思います。おそらくですが、鎌倉シャツについて書かれた下記書籍から抜き出してEvernoteに入力したのだと思います。

 

念のため、全て引用という形で記載します。

 

・仕入先がなければ、われわれんの商売は成立しない。仕入先は重要な顧客である。常に相手の利益や立場を考え、必要以上に価格(値引き)交渉はしない。それが良い商品を早く、しかも安く回してもらえることになる。
・買い手有利な取引を戒める。
・取引交渉で大切なことは、相手の考えや事情をよく聞くこと。それをせず、すぐに電卓を取り出し、セカセカと叩いたのでは、よい関係は築けない。
・相手の提示価格を受け入れれば、優れたメーカーが納入してくれるようになる。売れ筋や良品を、どこよりも早く。それが高品質、低価格につながる。
・メイドインジャパンへの期待は高い。私たちは超一流を目指さねばと決意する。
・品質が良ければ、多少時間がかかろうとも、必ず売れる。
・自分でも買え、誰もが買えると感じてもらう価格が4,900円
・目標を作ると、その達成のために無理を重ねることになる。
・供給側の勇気とは、注文や問い合わせがあるからといって、品揃えをヨコに広げないこと。
・マーチャンダイジングの基本は絞る、勇気を持って絞ること。それが量につながり、安く提供できる仕組みを作る。
・ダメばかり言っていると、当の本人がダメになってしまう。もう一度、各人が心をリセットしなければ、会社の成長はない。
・親族が経営者ではない。みなさん一人ひとりが経営者である。
・人間は本来、自分の経験したことしか分からない。正しいと主張しても、違うこともある。しかし、自己主張は大いにし、活発な議論、論戦をしてほしい。
・大切なことは、しっかりとディベートすること。でも、終わればノーサイド。つべこべ言わずに決定に従うこと。
・店長は自分が不機嫌でも部下は許してくれる。それでよしと甘く考えてもらっては困る。
・部下の短所を目ざとく見つけ、いちいちチェックするようでは部下は育たない。
・接客も店長業務も毎日がクリエーションだ。昨日よりも今日、今日よりも明日。毎日が同じと考えているような人に成長はない。
・私を含め決して偉い人ではない。何でも話してもらうことが以心伝心を芽生えさせる。
・取引先は大切な顧客である。
・父はいつも言っていた。昔から商人の地位は低かった。だから武士以上に品格や誇りを大切にし、商人道を貫いてきた、と。
・父から教わったこと。「浮利を追わず、世のため、人のために尽くす。そこから、いくばくかの生活の糧を得られればいい」
・シャツを手がける以上、本物を提供するのが使命。だから目先の利益は考えていなかった。
・ビジネスマンの服装を海外に出ても恥ずかしくないレベルに引き上げる。
・日本の縫製業を変え、メイドインジャパンの良さを発信していく。
・商売の基本は顧客満足の充足にある。
・トップは先頭に立ち、誰にもできない決断をしなければいけない。他の人がやれることは任せなければいけない。
・こうあるべきという信念と哲学の中に、商いのチャンスを生み出していくことが重要。不動の経営信念を持続できた。
・我が社は低マージン、高回転ビジネスがゆえに、一瞬の油断も許されない。
・私をもっとグーグルとして使え。
・将来のあるべき姿は、強固なストアロイヤリティを確立し、会社名がブランド化していくことである。
・働く人たちの自由裁量権を拡げ、働く事が自己実現につながる会社を目指したい。
・メイドインジャパンブランドとして海外市場において優位なポジションを確立する。
・正しい服装術を身につける事で日本人の誇りと自信を取り戻し、日本の復活を成し遂げたい。
・MDとは出口(売り)と入り口(製造・仕入れ)のシンクロ化であり、ロスの極小化である。
・鎌倉シャツ創業の最大の理由は「商人道で自己実現したかった」
・一号店出店に際し考えた事は、企画・製造・販売の全てを自分でやること。
・フェアプレイの精神を重視し、経営や取引も公正・正直を念頭においてきた。今後もこうした精神に立ち、世界を視野にいれていきたい。

 私の業務の一つに飲食店経営があります。お客様に商品を提供する上で大事なことばかり書かれており、2年前に書かれたことが身にしみました。昔のノートを見返してみるとタメになりますね。

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

セールスフォースって名前かっこいいけど何やってる会社なの?って聞かれたからブログ書いてみます。

f:id:multi-business:20171115142911p:plain

今回は米セールスフォースドットコムを取り上げます。私は生命保険会社出身ですが、この前前職同期の結婚式で元同僚と話していたところ、彼らが社内の情報にしか詳しくなく世の中で起きている(ビジネス面で)ことに全くの関心がなかったことに驚きました。この考え方で本社にいて全社の舵取りをしているのか、とゾッとしました。その時にセールスフォースって何やってる会社なの?と聞かれましたので、(その場ではちゃんと答えましたが)ブログに書いてみます。

 

セールスフォースは企業向けに顧客管理システム(CRM)をクラウドで提供しています。クラウド以前は、各企業がシステム会社に自社独自の管理システムを発注し、導入していました。しかしこれだと開発費が高くなります。なぜなら、会社毎によってオーダーメイドだからです。一方クラウドが登場することで、セールスフォースなどに会社は、まず自分たちでシステムを作り、またオプション機能も作っておくことで、各企業はクラウド上でそのシステムを使うことが可能になりました。これまでに手間と比べると、工数が格段に少なくなり、コストも抑えることができるようになりました。セールスフォースが行っている業務はこれです。アマゾンのキャッシュマシーンであるAWSも同様です。さてセールスフォースの「Annual Investor Day at Dreamforce 2017」で使用されたプレゼン資料をみていきます。

 売上規模2兆円を目指して持続的成長を

プレゼン資料の冒頭から「Durable Growth(持続的成長)」を連呼しており、同社の一番のテーマであることが伺えます。

f:id:multi-business:20171115143657p:plain

f:id:multi-business:20171115144156p:plain

 

  • Execution(実行力)
  • Leverage(レバレッジ)
  • Economics(生態系・経済圏)

 

を重視しており、2022年には売上高200億ドル~220億ドルを目標に掲げております(2017年は売上高84億ドル)。ちなみに表中の「TAM」は「total adressable market」の略で、いわゆる市場規模を表しています。

企業向けソフトウェアではセールスフォースがシェアNo.1

f:id:multi-business:20171115161537p:plain

上図を見ると、セールフォースのシェアがぶっちぎりで、オラクルやSAPは横ばいが精いっぱいな状態です。

f:id:multi-business:20171115162005p:plain

成長領域もよくまとまっています。Marketing、Commerce、Platform&OtherがそれぞれYoY+30%に伸びを想定しています。Analysticsは非開示で、逆に気になります。 

地域ごとのシェアもまだまだ伸びしろあり

f:id:multi-business:20171115200247p:plain

地域ごとのシェアも開示されています。最大市場のアメリカ大陸では、13%、ヨーロッパ中東地域では7%、日本を含むアジア太平洋地域では同じく7%。逆に言えば伸びしろはまだまだありそうです。

 

意外にも中小企業向けが好調

f:id:multi-business:20171115200902p:plain

 現在の販売先のシェアが出ています。ここで意外な点が2つ。

  • SMB(small and medium business、中小企業)向けシェアが25%と高い。
  • PubSec(行政機関)向けは2%と苦戦。

 

以上、簡単ですがセールスフォースが行っている事業とその現状を見てきました。現在のPLやBSは是非ご自身でご覧になってみてください。私の会社ではまだSaaSは導入されていません汗。早く導入して効率性が上がればいいな、と思っています。

 

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

ExpediaのIR見てみました。

海外企業シリーズです。今回はよく利用するExpediaを取り上げます。

Expediaと言えば、カラニック氏が退任し空きポストになってるUberのCEOの席に、創業者でCEOのコスロウシャヒ氏が就任することになりました。※本記事執筆時点でコスロウシャヒ氏はまだExpediaのCEOです。

jp.techcrunch.com

 

さて、個人的にはExpediaはオンラインでの海外格安航空券販売のパイオニアのように感じます。1996年に設立され、1999年にナスダックに上場しています。調べて知りましたが、元々マイクロソフトの社内プロジェクトだったんですね!沿革を調べると、買収など多くのことが書かれていますが、今回は省略します。

日本国内の旅行予約サイトを見ると、エボラブルアジア、スカイチケット、DeNAトラベルなど、国内では大きなプレイヤーが出てきており、外資系ですと世界最大の旅行予約サイトBooking.comがあります。。私の中では、オンラインチケット予約と言えばExpedia、な感じなんで取り上げました。

 

それでは、2017年2月に発表された、2016年第4四半期の決算説明資料を見ていきましょう。※なお、記事中は1ドル=120円で計算をします。

 

一目でわかるExpediaのすごさ

f:id:multi-business:20171109005507p:plain

冒頭にExpediaの現状が1枚にまとめられています。

  • 予約取扱高(グロス)720億ドル(約8.6兆円)
  • 売上高88億ドル(約1兆円)。業界に対して2倍の成長スピード
  • 月間サイト訪問ユーザー6億人以上
  • 75カ国以上で展開
  • 150万人以上がホテルも(オプションとして)予約する
  • 世界で2万人以上の従業員

前述したエボラブルアジアやスカイチケットの実績を比較してみると面白いかもしれません。

 

f:id:multi-business:20171109010345p:plain

執筆中の11月8日の時価総額を見ると、179.24億ドル(約2.1兆円)。思った以上に時価総額は高くないようです。競合するBooking.comを運営するPriceLine Groupは約800億ドル(約10兆円)と、Expediaの5倍以上です。今度はこの会社も調べてみます。笑

 

f:id:multi-business:20171109010630p:plain

また、Expediaは6つの強みを挙げています。市場が大きいことや、技術面でのアドバンテージ、豊富な販路などなど。

まず足元の業績は?

f:id:multi-business:20171109181432p:plain

主要KPIである予約宿泊数と予約取扱高はCAGR(年平均成長率)が20%以上と、この規模になっても大きな成長を続けており、売上高、EBITDAも同じくCAGRが約20%になっています。

シェア拡大余地はまだまだ大きい。 

f:id:multi-business:20171109180401p:plain

 旅行市場全体とExpediaがどれほどのシェアを有しているかが書かれています。次の2点はまず頭に入れておかなければいけないでしょう。

  • 世界の旅行市場は1.3兆ドル(約156兆円)あること
  • そのうち、50%はオンライン予約であること

表を見ると、北米ではシェアが高いですがヨーロッパでは低い。これは前述したBooking.comがオランダの会社でヨーロッパで強いということでしょうか。アジアやラテンアメリカでもまだまだ成長余地は大きいです。

書きながら結論をどうしようか、分からなくなりました。まとめてみると、

  • 既に世界最大規模の旅行予約会社になっている
  • 全世界の市場規模に対して、意外とシェアが高くない(つまり伸ばす余地あり)
  • これほどの規模になりながら、業績は年平均20%くらいで成長している

といったところでしょうか。

 う~ん、上手くまとめられなかった。ごめんなさい汗

 

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

ブロンコビリーが急成長?調べてみた

久しぶりの投稿です。先日NewsPicks内で下記記事が多くのPickをされていました。

newspicks.com

私の地元の近くにもブロンコビリーがあり、小さい時はたまにいったが年齢を重ねるにつれて行かなくなりました。失礼ながら、地元に戻って通り過ぎるたびに「まだ潰れずにやっているんだ」という感想をもっていました。記事の冒頭部分を引用してみました。

ステーキ、ハンバーグ、サラダバー専門のレストランチェーン、ブロンコビリーが急成長を続けている。2010年から16年まで、7年連続で増収増益。10年の年商は約88億円だったが、16年は約180億円と、2倍以上に伸びた。

 経常利益も約12億円から約28億円へと、こちらも2倍以上に伸びている。16年12月期の決算は過去最高の業績を更新した。

 店舗数は116店(全て直営)。東海、関東、関西の1都2府9県に出店している。本社のある愛知県内に41店と集中しており、まだまだ出店余地がある。

 特筆すべきは利益率の高さで、経常利益率15.6%は外食企業ではトップクラス(日経MJ調べ)だ。上場している外食企業の売上高上位20社の平均が4.6%であることからも、いかに高収益を上げているかが分かるだろう。

 直近7年連続で増収増益。年商は2倍以上に成長。経常利益も2倍以上。前期は過去最高の業績を更新。なるほど、すごい勢いで伸びてます。私の中では「あのブロンコビリーが・・・」という思いがまだ続いています(関係者の皆様すみません)。数値の伸びはわかりました。それでは、ブロンコビリーがどういう戦略を採用し、どのように成長してきたのかをこれからみていきます。

ブロンコビリーって?

ステーキ、ハンバーグ等を専門とする「ブロンコビリー」。1978年に名古屋北区に1号店をオープン。駐車場を完備した郊外型レストランとして関東、中部、関西に展開しています。店舗数は113店(2017年6月30日現在)。

f:id:multi-business:20171013141350p:plain

経営実績は

それでは、2017年12月期第2四半期の決算資料から、ブロンコビリーの経営状況を見て行きます。

f:id:multi-business:20171013141832p:plain

まずは直近の業績からみていきます。売上高9,451百万円(YoY+5.1%)、営業利益1,081百万円(YoY-22.2%)、と売上は伸びていますが営業利益が苦戦。原価も販管費もともに増加し利益を圧迫しています。飲食店や小売店で重要な指標である既存店の売上前年比をみると96.5%とこちらも苦戦しています。冒頭の記事で絶好調ぶりを書いたにも関わらず、という感じです。

f:id:multi-business:20171013142348p:plain

既存店の客数前年比と見ると昨年6月から下降の一途を辿っており、2016年8月から前年比割れが始まります。回復の兆しが見えたのは今年3月から。この時期、スマホアプリを全店の導入しています。

f:id:multi-business:20171013142948p:plain

「スタンプス 」というアプリを導入し、来店特典の通知やデジタルスタンプ(来店毎に加算)など工夫が見られます。また、子供向けの施策もデジタル化することでファミリー層の取り込みもおこなっています。アプリの登録会員数が22万名というのも驚きです。図での紹介はしませんが、ステーキやハンバーグなどの主力商品の改良にも力を入れ、前年比で注文数を増やしています。

f:id:multi-business:20171013173921p:plain

決算資料を見て突筆すべきものは、上図の既存店売上前年比ではないでしょうか。今期は決して絶好調ではないと思いますが、施策等の取り組みによる右肩上がりは素晴らしいと思います。

f:id:multi-business:20171013174233p:plain

株価の推移もぜひ見て欲しいです。2013年初めに500円ほどだった株価は約5倍の2,500円に。本稿執筆時(2017年10月13日の終値)の時価総額は410億円です。す

今後の戦略

f:id:multi-business:20171013174659p:plain

決算資料の後半には、今後の課題として社員教育をあげています。売り手市場と言われる、企業側からしたら厳しい採用環境の中、新卒採用を毎年増やし組織の強化を図っています。

 

いかがだったでしょうか。私は完全にオワコンだと思っていましたが、IRを見ると手堅く成長している素晴らしい会社だと思いました。年末に実家に帰った時にはぜひ寄ってみます。※株も欲しい。笑

 

【サッカービジネスNo.1】サッカー移籍市場について(さわりだけです)

プレミアリーグの強豪チーム、チェルシーのフロントで働く!と豪語し始めたからどのくらいの期間が経過しただろうか。VCの仕事を続け、まだ海外にも出ていない。焦りが強くなってきた。相変わらず、スカパー、DAZN(ダ・ゾーン)、スポナビライブで欧州サッカーを観続けていて、「いつあの舞台にビジネスマンとして立てるのだろうか」という思いにふけっている。本ブログでは、主に上場企業の財務面を中心に書いてきたが、やはり最大の目標はサッカービジネス 。とりわけ愛するチェルシーでフロントとして働くことだ。今後は、サッカービジネス(スポーツビジネスももちろんだが)についても取り上げていきたい(インプットしてもアウトプットする機会が多くなく、かつこれを読んで頂いたサッカー関係者の方からご連絡を頂けるかも、という淡い期待も少なからずあります・・・汗)

と、久しぶりに自分の思いを書いたあとで、本稿に移って行きます(フットボールではなくサッカーという表現を使っていきます)。

 

サッカー雑誌をビジネス面から読む

今月発売のfootballista(フットボーリスタ)の特集が『Jリーグも逃れられない 「選手=株式」 欧州サッカー移籍ゲーム』。ネイマールのPSG移籍という史上空前のビッグディールに始まり、バブルとも言えるくらい移籍金が高騰した今夏のマーケットについて特集しており、サッカーを思いっきりビジネス目線から捉えています。

www.footballista.jp

移籍金って?

簡単に補足すると、サッカー選手はクラブチームとプロ契約を結んでおり、契約期間が◯年、と決めています。しかしながら、その選手の活躍次第では例えば契約期間がまだ2年残っているのに他のチームが「ウチに来ないか」と誘ってきます。その選手もチームを移りたいと考えていても、現所属のチームとは契約が2年残っているからそう簡単に移ることができません。そこで出てくるのが、契約解除金、つまり移籍金です。「いくら払ってくれれば今の契約を解除しますよ(つまり他のチームで契約を結んでもいいですよ)」ということになります。ネイマールの移籍の場合、契約解除金は2億2,200万ユーロとされていますが、これはPSGがバルサに支払った金額ということになります。フットボーリスタでは、僕が大好きな解説者の一人で、ジャーナリストの小澤一郎さんがネイマールディールの記事を書かれていますのでぜひ読んでみてください。メッシがネイマールと写っている写真をインスタグラムから消したという内容にはびっくりしまいした。

こんな感じでこれからも書いていきます。

初めから長々となるのもアレなので、今回はこのくらいに。それでは。

 

上場ラーメン企業をやや真面目に調べてみた

前回のユナイテッドアローズの記事で多くのPVを頂きました。ご覧になられた方ありがとうございます。

www.vcdiary.work

テック系全盛の中、キャピタリストとしてはどうなんでしょうか。前回はアパレル企業。今日はラーメン企業を取り上げます。

みなさん、上場しているラーメンの企業というとどこが浮かびますか。真っ先に浮かぶのは『一風堂』を展開する力の源(もと)ホールディングスではないでしょうか。

newspicks.com

yahooファイナンスを見ると、本日(2017年8月15日。以下、登場する時価総額も同じ)の終値で時価総額は21,434百万円です。約200億の快進撃中の会社ですが、まだまだ上には上がいます。私が調べた限り、ラーメンの会社で時価総額TOP3はこの会社です。

  1. 王将フードサービス 時価総額99,083百万円 「餃子の王将」を展開
  2. ハイデイ日高    時価総額85,340百万円 「日高屋」を展開
  3. 幸楽苑HD       時価総額29,390百万円 「幸楽苑」を展開

ちなみに昨日の夜は神保町の日高屋でラーメン、餃子、ライスを食べてきました。週1回はマストです!

店舗数トップは〇〇も、1店舗あたりの売上高は〇〇が首位!

さて、各社の決算資料を見て行きましょう。ここでは各社を取り上げる各社の決算説明資料は以下のようにします(呼称も簡略化します)。

王将は2017年3月期、日高屋は2017年2月期、幸楽苑は2017年3月期決算を使用します。

まず単純に売上を見ますと、

王将  75,078百万円 YoY-0.3%  営業利益5,494百万円  YoY-12.4%

日高屋 38,514百万円 YoY+4.7% 営業利益4,564百万円  YoY+5.3%

幸楽苑 37,803百万円 YoY-1.0%  営業利益147百万円   YoY-16.9%

日高屋を除く2社は前年割れ、特に幸楽苑は2016年10月に発生した異物混入事件を受け、業績に大きく影響が出ています。日高屋は順調に推移してるようです。

売上は店舗数が大きくものを言うので、単純に力を比較するため、店舗数と店舗あたり売上を見ていきたいと思います。なお、王将はFC店を多く持っており、王将のPL(損益計算書)に出てくるFC店舗売上はおそらくロイヤリティ収入になりますので、ここでは直営店の数値を使います。

王将 486店(前年比+13店) 売上高68,995百万円 1店舗あたり142百万円

日高屋365店(前年比+8店)   売上高38,514百万円 1店舗あたり106百万円 

幸楽苑528店(前年比+19店) 売上高37,803百万円 1店舗あたり72百万円

 但し書きですが、日高屋も幸楽苑もこれ以外のブランド店がいくつかあるので、正確に1店舗あたりの売上を記載しているわけではありません。しかしこれで見ると、店舗の実力がよくわかります。幸楽苑が店舗数でトップも、1店舗あたりの売上高は、王将が幸楽苑の2倍を売上トップ。日高屋も1店舗あたり1億円以上の売上です。

一風堂も善戦しています

ここで試しに、一風堂を運営する力の源HDを見てみます。一風堂の店舗数は出ていますが、それにあたる売上高が出ていないため、一風堂以外も含む店舗数と売上高から算出します(2017年3月決算より国内事業のみ)。

力の源HD 133店舗 売上高14,640百万円 1店舗あたり110百万円

1店舗あたりの売上はおよそ日高屋と同程度です。私の仮説ですが、日高屋はラーメンだけでなく定食やアルコール類、おつまみも充実している一方、一風堂は基本的にラーメンと餃子がメイン。そうなると日高屋の方が一人当たり単価は高いのではないかと思います。それでも1店舗あたり売上高が均衡するということは一風堂の方が客数では多いのではないでしょうか。

f:id:multi-business:20170816123505p:plain

3社の売上の伸びは、日高屋以外減少傾向でしたが、一風堂はどうでしょう。国内売上高はYoY+1.8%、海外店舗売上がYoY+12.2%、と国内はやや伸び悩み、海外は堅調です。

ラーメン市場はまだまだ伸びる?

最後に一風堂の決算資料に国内のラーメン店舗数と売上高の推移が載っていましたので

それを掲載して締めようと思います。

f:id:multi-business:20170816123935p:plain

 人口減少が叫ばれていますが、国内の外食市場およびラーメン市場は成長を続けています。ラーメン店舗数は頭打ち感が否めませんが、各企業の努力の結果売上高は伸びている状況だと思います。

さてラーメン企業の比較、いかがだったでしょうか。東京に住む私のとって、日高屋が一番遭遇する可能性が高いんですよね。ラーメン餃子セットにライスを追加して計750円。しかも毎回サービス券をもらうのでラーメンは大盛。これはコスパがいい!!なので私は日高屋に通い続けます。